This is venom spitting.

毒を吐いて、独を白いて。

白いレースと黒い鉛

雲ひとつない快晴だった。

私は逆走した、気に入らなかった。空気も回路を逆走していた。朝は冷たかったのに。

 

白か黒のワンピースもしくはキャミソールとスカートに、ブラウンの巻かれた髪の毛がなんか妙に合っているのが私はすごく嫌だった。何時間も頑張ってしたデッサンの上から白くて繊細なレースを被せられた気分だった。その絵は庭奥の白い小屋に仕舞われた、レースで隠されたまま。

 

そんな彼女の横でギラギラと光るメタリックが愛おしかった。違う、通りかかる全てを切り刻みそうな霧を纏う彼の横で、ゆで卵みたいにつるりと笑う彼女が嫌いだった。

似合わないよ、そう言ってやりたかったのに、日が経つにつれて、殻だと思っていたのが実は白い羽であるように見えてきて、そして私はただの消しゴムのカスだった。何これ。

 

私はずっと一人でろくろを回し続けていて、右回りだったか左回りだったかもよく分からなくなっても尚、未だにぐるぐると手を動かしている。

 

いつも通り鴉みたいな服を着て恨めしく擦った黒鉛はちっとも私を満たしてはくれなくて、喉が乾いて水筒を探したときに落ちた指輪がカランケランと音を立てた。踏み潰した。どうせ安物だもの。ええ、私のようにね。

 

自尊心なんてけったいなものはとっくの昔にすり潰したので、その跡がこうして歩く度に靴の裏についたりして、鬱陶しいなと思った。犬の糞となんら変わりのないものに見えるから帰って洗わなければと思うのに、いざ帰るとそのことを忘れてしまうのだからいけない。ベタベタだ。黒だか赤だか知らないけど、辞めなよ。

 

それで結局、私は砂糖の塊の点滴を身体に打って帰ることにした。なかなか脱皮もできない癖にそうやって皮を醜く仕上げるのだけは容易で。あとで腹立たしくて泣くのは自分自身なのに、麻酔が気持ちよくて辞められなくて今日も、自販機のボタンを押すのだ。

 

そんな感じでなんとなくズルズルゆら〜とフラフラぐちゃぐちゃになって進んでいくわけで、財布に溜まったレシートいつ捨てようとか、今のバイト辞めたいけど次のバイト探すのもめんどくさいなとか、金は無いけど酒は飲みたいとか、そんな感じの、大好きで大嫌いな明日へ。

 

さぁ、開幕。(笑)